青年海外協力隊 算数・数学ブログ

協力隊員が任地・任国の算数・数学~生活・旅行事情まで、幅広く紹介するブログです

南アフリカ、算数教育の大きな問題点

どーも、月曜日担当のカオルです

 

現在南アフリカ共和国のゴゴゴ小学校で、青年海外協力隊員として働いています

 

 

 

さて、今日は

 

私が思う、南アフリカ共和国 における算数教育の問題点について話したいと思います 

 

以前他の方も、何が算数能力の向上の妨げとなっているかについて述べていましたね

 

 

kyouryokutaimath.hatenablog.com

 

この記事で いくと さんは英語力&現地語能力の低さを問題点として

 

 

kyouryokutaimath.hatenablog.com

 

この記事でタツさんは、英語力&推測・経験能力不足

 

 

を理数科教育の問題点として挙げてました

 

2人の意見に私も大賛成

 

つまり

 

英語不十分・現地語ですら不十分・問題の練習不足

 

全部が要因となっている と思います

 

だからこそ発展途上国の算数教育の闇は、深いのです・・

 

 

なので今日は、私の推察を

 

 

南アフリカ教育の問題点

 

①テキストが難しすぎる問題

②時間がなさすぎる

③指導要領むちゃくちゃ

④オールイングリッシュ問題

⑤教える教師のレベル

 

 

 

 

 

 

①テキストが難しすぎる問題

 

 

これがまず初めに挙げられると思います。

 

南アの教科書を見ると驚くと思いますが、それはそれは立派なテキストです

 

厚みでいうと、日本のテキストの2.5倍ほどの厚さ。日本のテキストは上巻・下巻と分かれていますが、一冊分×2.5倍分の内容を1年間でやる感じです

 

内容もぎっしりで、単元的には日本と同じで、それに加えて難しい計算問題がたくさん出てくると思ってください

 

それに加え、こんな問題いる? という問題や、難易度が飛躍的に難しくなったりします

 

例えば、5年生の問題では

 

太郎君の家はラグビー場まで1と4分の1時間かかります。ある日、ラグビー場に5時12分に着きました。何時に家を出ましたか?

 

 

 

むっず!!!!

 

1と4分の1時間とか現実で一切使わないんだけど・・ 笑

 

ですがこんなわけのわからない難しい問題が出てくるのが、南アのテキストです

 

 

その他には、授業をやらない先生の監視のためか、子どもにはClasswork(クラスワーク。授業内のもの)と、Homework(ホームワーク。宿題)をきちんとノートに書かせるようにとのお達しがあります

 

さらにこれは何度やったかチェックして、上層部にいくつクラスワークをやったか、いくつホームワークをやったか、毎学期提出しなければなりません

 

いくらでも報告でズルできるこのチェックの仕方、必要ある? 

 

ちなみにズル防止のため、監視委員が各地区にいて周っているようですが、ほぼ小学校まで来ることは無い&事前に情報があれば周ってくる

 

今週の何曜日に○○小学校に行くらしいよ

 

ので、結果何の意味もはたしていません

 

ですが一応先生方はばれるのが怖いので、しっかりとではないにしろ、このルールを守ってます

 

でも金と時間の無駄な気もします

 

自主性に任せられない国は、上からの強制力が働く

 

学校の子どもと同じ環境ですね・・

 

 

f:id:kyouryokutaimath:20190527205132p:plain

 

 

 

f:id:kyouryokutaimath:20190527205447p:plain

 

 

 

大人ですら、面白くない教科書・・

 

文字ばっかりで、

 

 

 

 

②時間が足りない問題

 

 

さて、南アフリカ共和国ですが、公立学校には全4タームがあります

 

 

またこれらの時間の内、最後の2週間は毎回テストで消費されるため、実質1学期につき2ヶ月ほどしかありません

 

普段の授業時間としては、

 

1学年週5時間 × 8週間(2月分) で 40時間  が ひと学期分

 

テスト週間の内訳は、

 

テスト毎日1教科×1週間チョイ(7教科9項目ほど) やります

 

テスト後は、すっかり子どもは遊びモードになっていますので、授業をやったとしてもあまり期待できません

 

先生方も採点やらで忙しいので、先生がいないクラスが大量に出てます

 

こうして最後の2週間分は完全につぶれます

 

またこれに加えて

 

金曜日の午後は毎週授業がないので(以前にもお話ししましたが、大掃除を毎日金曜日の午後にします)、その時間も授業を出来ません

 

 

 さらに学校のイベント(スポーツ大会・学園祭・地区大会・ワークショップ)等で、毎学期何かしらの(妨害)がちょいちょい入ってきます

 

テキストを網羅するための時間は本当に足りないんです

 

 

教育省が考えている理想と、公立学校の現実の差

 

埋めがたいものがあります・・

 

 

 

 

③指導要領 机上の空論説

 

 

南アの指導要領それはそれは 絵に描いた餅です

 

確かに指導要領通りにやれば、学期内に終わる「設定」になっているんです

 

今までの内容が全部理解できていて、全員IQ110以上、勤勉、偏差値80の小学校なら、あのペースで出来るのかもしれません

 

ですが現実にそんなにできる子どもはほぼいません

 

低学年教育は全く機能してない状況です(うちの学校では)

 

4・5・6年生で九九すらいえません

 

英語は算数と同じくらい、他の科目は英語以上にひどいです(英語を使って習うので、そもそも英語が出来ていないといけない)

 

そんな子に、分数のわり算を3時間で、練習含めて覚えさせることが出来るでしょうか・・

 

無理です><

 

ここでも教育省の理想と、現場の現実に大きな隔たりがありますね

 

いったいどこの指導要領を真似して作ったんでしょうか・・

 

イギリスかなー・・?

 

 

 

④オールイングリッシュ問題(全教科 in English)

 

 

 南アでは4年生から、国語(それぞれの現地の言葉)を除き、すべての教科が英語で教えられます

 

教科書もそれまですべて現地語で書かれていたものが、英語で全て書かれるようになります

 

まさに小4ギャップ

 

多くの子どもはここでついて来られなくなり、授業内容について来れなくなってきます

 

そもそも単語がわかってないのに授業を理解するのってとても難しいですよね?

 

5年生のテストで出た例で言いますと、

 

Bob is using transport every day. He pays R13 every day. He uses it for 20 days on May. How much did he pay?

 

こんなテストが出ました

 

日本語で言うと、

 

ボブは交通機関を毎日使っています。彼は毎日13ランド(南アのお金の単位)払っています。彼はそれを20日間使いました。彼はいくら払ったでしょう。

 

こんな感じの問題です

 

まあ去年、この問題が解けた子はクラスで3人/36人ほどだったのですが、

 

この問題、何が難しいかというと

 

Using(使う)Pay(払う)How much(いくら)

 

これらの単語をまず知ってることが最低条件です

 

まあこの時点で、半分以上はふるい落とされます(笑)

 

その上で、1日当たり13ランド × 20日

 

答え260ランド

 

と求めなければいけません

 

英語が出来なくてふるい落とされる→式をイメージできてなくて落とされる→計算ミスをする

 

これで残ったのが3人だったというわけです・・

 

もうね。泣きたい

 

算数はまだこの程度の英語しか、テストで出てこない(教科書の英語と比べてテストの英語は易しい単語が使われている)のでマシです

 

社会の教科書を見てみると

 

f:id:kyouryokutaimath:20190527210430p:plain

 

 

f:id:kyouryokutaimath:20190527210428p:plain

 

有名なマンデラさんのページ

 

白黒の写真&文字が多い&単語難しい ><

 

 

 

⑤教える教師のレベル

 

 

あまり言いたくはありませんが、先生のレベルも高くありません

 

レベルが高くないだけならまあまあ・・

 

なのですが、

 

始業時間に来ない、授業時間になってもおしゃべりしてる、授業に行かないで別の作業をする

 

みたいなことも多いです

 

正直協力隊員で、先生に働きかけてここを改善できた人がいたならば、とても素晴らしいと思います

 

これはここの先生の意識の問題なので、非常に変えることが難しい

 

また、授業というのも、基本的にずっと先生がしゃべっています

 

ノートの板書案みたいなものも特にないので、授業に行って思いつきを黒板に書いて、おわり

 

あとはずっとしゃべってるか、疲れたら教科書を子どもに写させたりして授業が終わります

 

ずっと聞くだけの授業? 楽しいですか?

 

もちろん飽きますよね・・

 

こっちの子どもなんてすごい露骨

 

あくびはしますし、姿勢もぐだー っと机に突っ伏したりします

 

それでも先生は話し続ける

 

隊員の間で、子どもが退屈しているのが明らかなのに、話し続けるあのメンタルは尊敬に値する

 

と言われるほどです

 

また問題なのが、あまり向上心がないこと

 

日本の先生方って、一応、どうやったらもっとわかりやすく教えられるかな? 子どもが楽しく学べるかな? 

 

とか考えると思います

 

こっちの先生は、そういった向上心がほとんど見られない人が多いです

 

ずーと同じ授業をやり続ける(子どもは理解してない)

 

教師がなりたくてなったのではなく、お金をもらえるからなったからなのでしょうか・・

 

それでも仕事だったらもう少し熱意を持ってやった方が、自分にとってもプラスになると思ったりもします

 

でも今のままでいいのでしょう><

 

もちろん、やる気がある先生もいます!

 

そういう先生は、授業を見ていても情熱的ですし、わかりやすさは別にして、とても良いなと感じます

 

協力隊員やアメリカンピースコーのボランティアからも、いいなと思ったアイディアは自分で進んで取り入れたりしてくれます

 

まあ結局人による

 

ってことなんですかね~

 

 

 

 

あそれでも、周りの小学校に比べればとてもマシ

 

と言われている、Gogogo小学校でした^^

 

 

 

 

f:id:kyouryokutaimath:20190527210724j:plain