南アフリカ共和国 ~留年制度の理想と現実~
どうも~ 月曜日のカオルで~す
Gogogoは3週目/8週間 が終わりました
来週終われば、半分^^
なんて、すでにターム休みを楽しみにしているダメ教師です><
学校では、今ターム末の学校祭に向けてダンスを練習中
5年生が自分の担当学年なのですが、今年度の楽曲は「It's always a good time」にしました
Owl City & Carly Rae Jepsen - Good Time (Official Video)
理由としてはとてもノリが良く、テンポも覚えやすく、初めての人が聞いても盛り上がれるから
歌詞よりもノリ重視!
実際爆音なので笑笑、曲の内容がというよりはいかに曲に乗りやすいか、その場で盛り上がれる曲か が大事なわけです
この3点を抑えてる曲ってなかなかないんですよ 泣
ちなみに去年は
Shakira - Waka Waka (This Time for Africa) (The Official 2010 FIFA World Cup™ Song)
Waka Waka は南アフリカワールドカップの時の曲なので、アフリカ全体結構知っている人たちは多いと思います(サッカー自体とても人気があるので)
それとも南アだけ?(笑)
去年のWaka Waka の後には、学校内でワカワカフィーバーが起こり、子どもたちがずっと真似して踊ってました・・
Gogogoでの呼び名は「ザミナミナ」
サビが、ザミナミナ eh eh なので、曲名を知らない子供たちは、「ティーチャー、ザーミナミナ!!!」といって、曲をリクエストしてきます・・
2曲ともノリノリな曲なので、ぜひ聞いてみてください^^
今日は、南アフリカ共和国でとても一般的な留年制度について、自分なりに思ったことを紹介したいなと思います
南アフリカ共和国では小学校段階においても留年制度があります
基準は少し複雑 且つ ちょっと曖昧なのですが
現地語(国語)①
英語①
算数①
社会②
理科②
生活②
まず、それぞれテストの点数の40%を取れてないと、その科目は「落第」という扱いになります
また現地語に関しては落第の基準がテストの点数の50%未満です
全教科のうち、①の科目(国語・英語・算数)はどれか1つでも取れていないと、「留年」になります
②の科目は2つ落とすと、留年します
え? 結構基準厳しくない? と思いますか
実は留年を回避させるための方法もあって、日本と同じで「平常点」を加味できるんです
しかし日本と違うのは、提出物や出席状況で点数が加味されるのではなく、中間テストを行い、その点数を加味するといった形です(平常点じゃね~笑)
南アには日本でいう期末テストしかないので、子ども達は普段小テストのようなものも受けることがありません
なので日本の中高のように中間テストを行い、その点数を加味するんです
中間テストは去年の期末テストの過去問だったり、先生自身で作ったりして適当に用意します
また抜け道として、中間テストを家でやらせて来たり(親や兄弟に答えを聞くことが出来る)、点数が悪い子には答え合わせをした後、もう一度テストを行ったりしてなるべくよい点数を中間テストで取っておかせるようにします
こうやって、多くの子どもが留年するのを防いでいるわけです・・
ちなみに子どもが落第しやすい科目は、英語と算数が圧倒的
社会・理科・生活科 を1つ落とす子は結構いますが、2つ以上落とす子はほとんどいません
次に「何回留年できるか」
原則として、1学年1回までしか留年できません
もし次の年も落第したら、自動的に次の学年に進級になります
小学校1年生~3年生まで(MAX2回)
小学校4・5・6・7 各1回ずつまで
中学校 8・9 各1回ずつまで(義務教育終了)
高校 10・11・12 各1回ずつまで
こんな感じです
各区切り事の最高年齢は
小学校3年 約10歳
小学校7年 約18歳
みたいな感じ
実際に16歳で小学校7年生とか、18歳で中学校1年生とかいます・・
「おまえ小学生ちゃうやろ、中学生ちゃうやろ」 ですね
そして大体問題児というのが現実
留年制度を取り入れるうえで、賛成意見として最も多いのが「学びなおしができる」ことに賛成する人が多いからだと思います
僕もできない子がもう一度きちんと学べるから良いことなんじゃないのかな~ と日本にいた頃は思ってました
しかし実際のところについては、この方もブログで紹介しているように、
https://synodos.jp/education/1396
(以下抜粋)
(前略)その内容を紹介すると、まず留年は次の条件を満たす児童のあいだで、多く発生していることが報告されている。(1)社会経済的に不利な家庭出身の児童、(2)低学年、(3)相対的に幼い児童(日本で言う所の早生まれ児童)、(4)男子、(5)両親の学校活動への関与が少ない家庭出身の児童。
次に、この報告書は、肝心の留年制度が児童の学力を向上させるか否かについては、留年制度は児童の学力を向上させるどころか、長期的にはむしろ留年した児童の学力に悪影響を及ぼすと結論づけている。この報告書によると、
留年直後の同学年内で比較すると、留年した児童は新たに進級してきた児童よりも成績が高く、この結果をもってして留年制度は効果的であると主張する人々がいる。しかし、同学年内ではなく同年齢内で比較した場合、留年を経験した児童はそうでない児童と比較して、進級するほどに学力で遅れを取っていく。しかも、同学年内で比較しても、留年直後に持っていたアドバンテージは長期的には消滅してしまうことが確認されている。
とのことです
南アにおいても、留年制度を導入してしまったため、学習障害等がある子も留年してしまう問題点が挙げられます
本来特別支援に行くような子が、社会的なサポート(金銭や交通の便などから、家庭の理解までを含めて)を受けられないがために、公立小に来て、ずるずると小学校に長くいるという悪循環が起きています
また留年するような子は本来かなり学力が厳しい状態の子どもが多く(なにせ留年させないために小学校側もずるをして、上の学年に押し上げようとしているくらいです)、残念ながら留年したところで何かが変わるわけではありません
ただ歳だけ取っていく
そして最悪なパターンが、留年して大人の年齢であるのに小・中学校にいることのプライドを保つために、非行に走ったりする子供もいることです
当然留年した生徒=かっこいい という概念はないので、留年すると学力的には馬鹿にされます
でも留年した本人としたら、馬鹿にされないためにはどうするか
力は他の子どもよりありますし、身長も高いですから、そういう暴力的な面で力をつけて、周りから舐められないようにするしかないですよね
そしてそういった子が周りに悪影響を及ぼしていく・・
これが南アの大きな問題点だと僕は思います
貧困を生きるとはどういうことか
https://note.mu/yagi0607intro/n/nffcb06d8b752
これはFBの記事から拾ったのですが、この人のブログでは「どうして貧困家庭の子は非行に走りがちになるのか」「どうして貧困家庭で育った子供はその環境を抜け出せないのか」
の解答の1つが示されています
TED Talksという番組で行われたプレゼンテーションがもとになっていて、その番組ではアルゼンチンの貧困家庭で育った女性が、「当事者からの貧困」について語っています。日本語訳もリンク先のブログに書いているので、ぜひ読んでみてください。(アルゼンチンはスペイン語圏です)
ブログを読むのに全部で10分ほどかかりますが、現実に貧しい村で教えている僕にとっても、現場に置き換えられる、とても考えさせられる内容です
話を戻して、
ほんとうに「学びなおし」をさせたいのだったら、そういった留年した子は、いわゆる平均レベルの子どもより、学力の面で大きなサポートが必要なわけです
それは教師だけが熱心になって何とかなるものではなく、学校以上に家庭学習の必要性も大きくなってきます
しかし南アの貧困層の親は、子どもに教えることなんてできるわけがありません
親世代の教育の貧困が次世代にも引き継がれていく
教育制度は社会的貧困を再生産する という言葉がありますが、まさにその通りだと、私も思います・・
まとめ
今回南アの留年制度の現実について紹介しましたが、皆さんはどう思いますか
日本でも留年制度を設けてもいいのでは? という意見も聞かれますよね
南アの留年制度は、いろいろと制度が整ってない中(発達が遅れている子、いわゆるDisabled children のための、学校は非常に不足しています。多分、Disabled って差別用語なのかな? 専門じゃないのでわかりませんが・・。また、学校の教授のレベルも高くないですし、勉強時間数も圧倒的に足りません)で行われているので、実際のテストでチーティング(ずる)が起こったりと、形骸化しています
なので本当に学力が低い1部の子が、その罠の犠牲となってしまっているところがあります
以前も述べたのですが、5・6年生の大半の生徒(Gogogoでは80%ほど)が、1年生~4年生までの間に1回は留年を体験しているのです
教えていて、この子は賢いな という子でも意外に1・2年生時に留年していたりします
1・2年生で留年させる意味ありますかね・・
そもそも1年生は学校になれるための準備段階という見方も強いですから
どういう方向で南ア教育は進んでいくべきで、どこから改善していけばいいのか
難しいところです・・
おわりに
ズボンの汚れは土ではなく、排泄物です(笑)
Gogogoではおむつはもったいないので、幼児の排泄は垂れ流し文化
う~ん まあ理には適ってるのかも!!
それではまた来週♪