青年海外協力隊 算数・数学ブログ

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南アフリカ共和国 ~Gogogoから見る南アの社会問題①~

どうも~ 月曜日担当のカオルです

 

 

この前(11月に)、7年生のお別れ会(小学校を卒業するので)で、先生や生徒たちと日帰りリゾートに行ってきました。

 

その際に、ある黒人の男性が「頭が禿げている」という理由で笑われていました。

 

その男性は、確かによく見ると、坊主頭の上の部分に髪がない。。

 

 

こちらではみんな坊主ですし、坊主の種類も人によって違う(何ミリ剃りこむかで変わってきますよね)ので、「禿げてる」「禿げてない」なんて、日本人の僕からしたら全く分かりもしませんでしたが、

 

南アの人たちの間でも、禿げは気にするのか・・

 

と、意外な発見でした。

 

 

 

て、

 

今日はGogogoでこの1週間に起こった2つのことを、南アという国の社会問題と絡めながら見ていきたいなと思います。

 

 

①子どもの進路

 

 

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道端で遊んでいる隣の子(1年生)

 

週、子どもに通知表を渡しました。

 

日本の通知表と違う点はたくさんあるのですが、今回はそう言ったところに触れません。お話ししたいのは留年の話。

 

以前にもお話ししましたが、南アには留年制度があります。

 

これは「1学期から4学期すべての学期の平均で、40%を下回ってる科目が複数ある場合、又は主要科目(国語・算数・英語)にあった場合」に起こりえます。

 

「起こり得る」という意味はどういうことかというと、例え下回っている科目があったとしても、「何らかの条件」があれば進級できるから。

 

条件は、「来年度改善の余地が見込める」または「あまりにもその子が歳を取りすぎている」

 

この2つが主な条件です。

 

 

もそも改善の余地が見込めるような子は留年しないので、あまりにも年を取りすぎている子(こちらでは、too big と表現します。留年している子は、ほかの子よりも体が大きいので。)が留年する場合がほとんどです。

 

僕がクラス担任をしていた5年生でも、2人留年(まともに採点していたら2人ではすまないのは公然の秘密)。

 

2人とも、学業に改善の余地は見込めないし、「まだ小さい」(まだ歳を取りすぎていないので、留年させられる)から、落とそうとの判断になりました。

 

反対に別の子は、落第科目が複数あるにもかかわらず進級。

 

普通の進級は「promoted」と書かれるのですが、この子の通知表には「progressed」と書かれています。

 

これは前者はきちんと試験をパスしたのに対し、後者は強制的に進級させた という意味合いらしいです。

 

 

アの留年制度に関しては以前も書きましたが、

 

 

kyouryokutaimath.hatenablog.com

 

 

 

この学校、まともに通っていたらそりゃ留年するよ・・

 

と私は思ってしまいます。

 

特別支援が必要な子すら、何度も留年する。

 

日本人から見たら、適切な支援を得られていなくて可哀そうと思うでしょう。

 

ですがそれが現実。そして特別支援に行こうと思ったら、一応学校はあることにはある。

 

ですが保護者は特別支援学校に対するイメージも良くなく、また交通手段の問題もあって行かせたがらない。

 

行くにしても、医者の診断等、難解な(保護者の教育レベルとっては)手続きが必要。

 

 

さて、誰が悪いのか・・

 

そして誰が被害をこうむっているのか・・

 

 

た、この時期は子どもの進路が急に変わるときでもあります。

 

どういうことかというと、公立から私立への転校。同じ公立への転校。が起こる季節だという事。

 

これは留年したとしても、学校を変えれば留年しなくて済む、南アの制度の影響です。

 

また都市にいる親元で暮らすために、Gogogoを離れる子も出てきます。

 

 

一人の保護者(生徒のおばあちゃん)から、担当クラスだった子が私立に転校することを聞かされました・・

 

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転校する男の子

 

 

毎年あることなのですが、かなり寂しい・・

 

子どもにとっては、少しでもましな私立に行くことは良い事。でも、せっかく手塩にかけて育てた子を引き抜かれる? ことに、心がズキッ と痛みます。

 

そもそも私立に行っても、周りの英語レベルの高さについていけず、結局落ちこぼれてしまう可能性は大いにあります。(1年生から私立にいる子と、途中から入ってくる子を比べるとそうなってしまいますよね・・)

 

それにうちの算数のレベルは、私立より高いと思っていますし わら

 

クラスのリーダーとして働いてくれて、いろんな面でみんなを引っ張っていく力があって、

 

時には、

 

「先生、見て! 俺ちゃんと働いてるでしょ。先生は俺がおっきくなったら、雇わなきゃダメだよ! 絶対、日本に行くから。」

 

と言ってくれた子が居なくなるのは辛い。

 

大体、優秀な子(態度面でも勉強面でも)が私立に ?引き抜かれて? しまう・・

 

そういう子の保護者は、それだけのお金もあるし、教養もある。私立に行くお金・環境のない子が公立に行くという、「南アの常識もある」。

 

という事ですね・・

 

わかっているけど、毎年つらい瞬間です。

 

 

②文房具の配布

 

南アの公立小学校では毎年この時期に来年度用の文房具の配布があります。

 

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段ボールに詰められて、届きます

 

 

内容はGradeR(年長)、小1~小3、小4~小7で分かれているのですが、

 

小4~小7に配られるものがこちら。

 

 

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ノートが8冊ほどと、定規、ボンド、糊、鉛筆削り、消しゴム、鉛筆2本、ボールペン4本、筆箱、三角定規・分度器等

 

これがすべて無料で配布されます。

 

 

そして夏休み明け、1学期始め、先ず筆箱を持ってくる子は半分ほど。そして、分度器・定規等々はどこかに消えています。

 

 

どうして消えるのか・・・

 

はっきりとした理由はわかりませんが、私の現地の家庭状況を知っている側の推測として言わせてもらえば、

 

子どもが休み中に何かしらで使う⇒使ったまま放置⇒なくす

 

これが原因です。

 

 

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ボンドの中身がでちゃってるものも、ちらほら・・

 

ちの学校では今年度、

 

ノート、鉛筆、ボールペン、定規 以外のモノ

 

をすべて学校側で保管して、それぞれの先生が来年度子どもに渡すか、先生自身で管理するかを決める

 

という事になりました。

 

これは僕の提案で、

 

僕「子どもは学期休み中に無くすんだから、今の時点で保護者に渡したくない。」

 

先生「彼らはどうして無くすのかしら?」

 

僕「ここの人たちを見ればわかるでしょ!! モノを管理できないんだよ・・」

 

校長「最低限のモノだけ渡して、来年度まで学校で保管しておこう」

 

 

となりました。

 

学校側としては、いちいち品を抜いたりする手間が増えて面倒なのですが、より良い学習環境を提供するためには致し方なし。

 

ちなみに教科書も南アでは5年間学校で同じものを使い続けなければならないのですが(聞くところによると)、今までのやり方では、子どもに学期始めに教科書を渡して、年度末に回収するというやり方を取っていました。

 

この方法だと、教科書がなくなるなくなる。

 

もちろん保護者は弁償なんてしない&出来ない ので、教科書が全員に行き渡らなくなります。

 

ひどい時には、3冊/30人でシェアなんてこともあります。

 

こちらも、校長に聞いたら、先生の側で保管しても良い(実際に今年度そうしている先生もいました)と言っていたので、来年度から全クラスでそうするように働きかけていきたいと思います。

 

こういう取組みが、お金も使わないし、既存のリソースで改善を促せる、協力隊としてあるべき姿なのかな~ と少し思いました・・

 

 

どもたちがモノを大切に扱わない原因として、先生方は全てが無料であることを挙げていました。

 

無料だからなくす。無料だから大切にしない。保護者も無くしても気にしない。

 

最近読んだ本に、「人種や文化で生活の差は生まれない。収入が生活の差を生む」と書いてありました。

 

これは「アフリカは発展しない。それは彼らの文化を見ればわかる。」

 

という意見に対しての反論でした。

 

これはなるほどと。モノを大切にしないことは、彼らの文化ではないのは確かです(現に、自分の家のモノや必需品に関しては、とても大事にしています)。

 

 

皆さんはどう思いますか?

 

 生活・教育・子どもの数 の差は何から来るのか

 

人種? 宗教? 大陸? 文化? それとも 収入?

 

 

 

 

それではまた来週♪