南アフリカ共和国 ~昔ながらの民族 ヒンバ族(ナミビア)~
どうも~ 月曜日担当のカオルです
現在(2019年4月)青年海外協力隊員として、南アフリカ共和国の小学校で働いています
タイトルがややこしくなってしまいましたね・・
今日は、ヒンバ族 についてお話ししようと思います
ヒンバ族はナミビア北部からアンゴラ南部にかけて住んでいる民族で、女性の上半身丸見えの衣装が有名です
現在では、ヒンバ族の村がいくつか観光地化されていて、多くの観光客が訪れています
そのため昔ながらの牧畜と農耕で自給自足の生活をしていたヒンバ族も、次第に西洋文明の影響を受け初め、あと数年で昔ながらの生活をするヒンバ族は見ることが出来なくなるかもしれない(地球の歩き方参照)
との情報もあります
クレイジージャーニー という番組でも、写真家のヨシダナギさんが、ヒンバ族と写真を取ったりしていたそうですね^^
今日はそんなヒンバ族の風習について、私の知っている限りの情報を書いていきたいと思います
この情報は、現地のナミビア隊員が現地ガイドから聞いたり、実際に村を訪れて見た・聞いた情報をもとに、私がまとめて書いています
①どこから来たの?
もともとアンゴラ東部にいた原住民が、水とより良い環境を求め次第に南下してきて、現在のナミビア北部に住み着いたようです
そのため現在でもヒンバ族はアンゴラ南部とナミビア北部、2つの国に渡って居住しています
ヒンバ族と一括りにしても、実際にはその中にいくつかの部族があるようです
例えばヘレロ族
(https://tabijo-bp.com/?p=1102 引用)
元々はヘレロ族とヒンバ族は同一の民族だったのですが、ドイツの植民地支配の時に西洋的な暮らしを選んだのがヘレロ族、そして伝統的な暮らしを選んだのがヒンバ族。(地球の歩き方参照)
特徴的な帽子を被っていて、ヒンバ族とは違いカラフルな洋服を着ています
ちなみに帽子の角のような部分の中には新聞紙を丸めて細長くして、あの形を作っているそう
もちろん普段からあの恰好ではなく、民族衣装をするのは街に買い物に行ったりする時です
外見からじゃ、同じ民族だとは到底思えませんよね・・
しかし同じヘレロ語を話します
②どうやって生計を立てているの?
ヒンバ族の生活は、牧畜と農耕の2本柱です
牧畜では、ヤギからミルクを取ったり、ミルクから取れる油を使って様々な用途に使ったり、肉を摂取したりします
主にヤギはミルク&肉用、牛は肉用ですね
ヒンバ族に限らず、南ア・ナミビアの田舎の村で牛をミルク用として飼っている所を、私は見たことがありません
もしかしたら、田舎において牛は肉専門なのかな??
でもそんな南ア人も、牛乳は飲みます^^
また、ヒンバ族内で、牛は豊かさを示す最大のバロメーターでもあるので、とても貴重な家畜です
隊員によると、
村に滞在していた際、ちょうど親を亡くした子牛に、哺乳瓶のようなものでミルクらしきものを与えている子どもがいたそうです
何を与えているのか聞いたところ
「パップとヤギの乳を混ぜたもの」
だったそう・・
まあツッコミ所としては、
牛にヤギの乳??
パップ って離乳食になりうるの??
でもヒンバの人が昔からそうしていた来たという事は、それできちんと育つのでしょう
人間の子も、オオカミの乳で育つ
良く物語ではありますが、実際ありうる話なんですかね
是非、実験してみてほしいものです (笑)
少し脱線してしまったので、話を戻して
ヒンバの人は牧畜と農耕によって生計を立ててると言いましたよね
農業では、トウモロコシ・ほうれん草 等を収穫するそうです
トウモロコシの粉(メイズ)は、彼らにとって主食となるパップを作るのにつかわれます
食生活はいたって質素ですね
本来牧畜は男の仕事、農耕は女性の仕事 だったらしいのですが、
現在ではほとんどの男が街にお金を稼ぐため働きに出ており、村に残っているのは子どもと女性ばかりです
というのも、ナミビアでは頻繁に水不足に見舞われるため 牧畜&農耕 のみだと収入が安定しなさすぎる
ため、男は町に出稼ぎに行っていることが、今では当たり前
そのためほとんどの男性は、伝統的な格好をしていません
言われてみると、
良く写真で見るのは、女性の写真じゃありませんか?
また牧畜の件ですが、
初めはヤギの世話から始まり、ヤギの世話を十分にできると認められれば、牛の世話を任されるそうです
これには理由があり、ヤギの方がまとまって行動する&遠くまで行かない、反対に牛は遠くまで自由にえさを食べに行ってしまうために管理が難しい
との理由があるそうです
興味深いですね・・
③ヒンバ族の住居
集落は、1人の村長と、その血族で構成されていることが多いです
そのため、隊員が訪れた集落は5家族ほどで構成されていたそうです
村長の第1夫人宅・第2夫人宅・第3夫人宅・村長の妹夫婦・村長の長男家族
集落の周りは、長さ2メートルほどの木の柵によっておおわれています
これは外敵の侵入を防ぐ目的があるのでしょう
掘り(いわゆる内堀・外堀)はないのですが、もしあれば、日本の弥生時代と同じですね
集落規模は縄文時代ですが
住居の作り方はいたって簡単
家づくりは男の仕事
まず初めに上の写真のように木を組んで型作ります
使われる気は、モパニツリー と呼ばれる木
ナミビアの乾燥地帯でもあちこちに見られる、ナミビアを象徴する木です
水が豊富でない環境に強いのでしょうね
枠組みが完成したら、その周りに土を塗っていきます
塗り終わったら完成
屋根にビニールをかぶせている家も所々あります
恐らく雨が降った時、土壁が解けることを予防するためなのかな?
ナミビアにも雨季はあるので・・
先ほども、男性と女性で服装が違う事をお話ししましたが、写真右側の男性と女性は夫婦なのですが、全く恰好が違うことがわかりますね
ちなみに男性は村長の長男、女性は外部の集落から嫁入りしてきた人 らしいです
また、各家に貯蔵庫もあります
この中に大切なものを入れて置いたり、穀物を保存したりして使うそう
1家に1つあります
続いて・・
普通の家とは別に、木で作られた簡易的な建築物も見られます
この建物は住居として使われるわけではなく、日中暑い時に避暑のために使われるそう
ヒンバ族の住居は上で見たように土で作られており、浸水を防ぐためか屋根に通気のための穴がありません
なのでめちゃくちゃ中が暑いです・・
ナミビアの夏はとても暑いので、それはもう室内なんてうだるような暑さ
とても寝られません
しかし反対に砂漠の冬はとても寒いので、冬になると、この土壁の住居の本領を発揮するのでしょう
④女性の格好がそれぞれ意味すること
さて、衣装がとても美しいヒンバ女性ですが、その格好には何かしらを暗示している面もあります
ただむやみにアクセサリーを付けているだけではないのです
1枚目は手前の足の飾りに注目してみてください
入っている線の数が、1本と2本で違いますよね
これは1本であれば子どもがいない、2本であれば1人以上子どもがいるという事を指すそうです
1人以上ということは、2・3・4・5人・・ と可能性があるわけです
どうして1人につき1本じゃないのか
それが文化というものです (笑)
続いては髪に注目
この赤い髪が、何本垂れているかが、オシャレ度を決めるそう
たくさん垂れていればいるほど、Good!!
ちなみに先っぽの黒いふさふさは髪の毛ではないので誤解なさらず
ふさふさはプラスチックで出来ていて、ただのおしゃれです
街やタックショップで買うそう
まさに近代化ですね^^
続いては子どもの髪型
女の子は大人になるまで、こうやって髪を2本前に垂らします
大人になったら、今度はそのまま後ろ向きに垂らすそうです
つまりあの赤い髪の毛のうちの1房になるということですね
反対に男の子は髪の毛を1本だけちょんまげのようにして伸ばします
大人になったら切ってしまうそう
男子と女子でこんなところにも風習の違いがあるんですね
続いては、ネックレスが意味すること
女性の首回りを見ると、必ず誰しもがネックレスらしきものを付けています
これにもちゃ~んと意味があるそうです
まず子どものころは、太いネックレス(髪の毛で登場した女の子がつけているネックレスです)をします
続いて、大人になると(おそらく初経が来たとかなのだと思います)
ヤシの木のネックレスをします
太いネックレスの他に、小さい別のネックレスをしているのが見えると思います
このヤシの木のネックレスは大人の証拠でもあるので
イコール、結婚する準備が出来たことも指します
なので子どもがいる女性も、
ヤシの木でできたネックレスをします
ちなみに結婚すると(正確にどのタイミング化はあやふや)、あのぶっといネックレスは切り落としてしまうそうです
また親戚の誰かを失うと、喪に服するという意味で1年間
貝殻で出来たネックレスをします
もちろん貝殻のネックレスなんかは、地元じゃ手に入らないので、街で手に入れるそうです
果たしてそれは風習なのかどうか・・
しかし、彼女たちが今どんな状態にあるのかが、ネックレスを見ればわかる
非常に興味深いですね^^
⑤風呂に入らない民族?
ヒンバ族は一生の間にお風呂に入らない民族としても有名です
しかしそれは、水を使って風呂に入らないというだけで、風呂には入ります
オーカという泥を、体に塗りこんで体を清潔に保ちます
オーカは、赤い土と脂(ヤギのミルクから取れる)をミックスさせて作るそう
隊員の話でも、全然きつい体臭はしなかったそう
不思議ですねー
オーカについては多くの人が詳しく書いているので、
気になる人はぜひ 「ヒンバ族」 で検索を!
⑥子どもは学校に行くの?
ヒンバ族は子だくさん
一夫多妻が正式に認められている上、1人の女性が5人以上ぐらいの子どもを産みます
死産している数も含めると、もっと多くの子どもを産んでいると思われます・・
そんなわけで、村には子どもが大量にいるのですが
集落の近くに学校はないことがほとんどです
広大な砂漠地帯に点在してヒンバ族の小集落があるため
ナミビア政府もカバーしきれないというのが実情
歩いて5km以上かかるなんて普通にあり得ます(まあ10km行ってもないなんてことも普通にあり得ます)
子どもは学校に行っているのか聞いたところ、
学校に行こうと思ってたどり着ける日もあれば、途中で行くことをやめちゃう日もある
ヒンバ族にとって学校へ行くことは強制ではないし、子どもが行きたくないと思ったら別にいかなくて良い
だそうです
まあ炎天下の中、歩いて最低5km以上もかかる学校なんて普通行きたくないですよね
今まではお金にも頼らない生活をしてきたので、大きい数を数える必要性もない
しかしこれからはそうも行きません
もし豊かな暮らしを望めば、学校に行って教育を受けるしか、より良い暮らしをするためのチャンスもありません
今までのように自分たちの暮らししか知らなければいいのですが、観光客の訪問等で、自分たちとは違う身なりをし、物を持つ人を見る機会が増えてきています・・
そしてそれによってヒンバ族が、急激に影響されていっていることも確かです
現在ここで産まれている子どもの多くは、生まれた時点で大きなハンディキャップを背負っているのかもしれませんね・・
⑦その他興味深い話
(1)ヒンバの財産の相続方法
主な財産となるのは牛とヤギです
特に牛が重要であることはお話ししました
村は村長の血族で構成されているのですが、村長がなくなると、その子供たちによって財産分配が行われます
もちろん長男が1番多くを取り、村も長男が次の長となります
その他の息子たちは村を出て新たな集落を自分で作るか、そのまま自分の集落に住み続けるか選択肢があります
新たな集落は「良い土地」につくることが彼らにとって最低条件で、これは水源から3km以内の土地を意味するそうです
昔は川や湧水の近く、等の条件を指したのでしょうが
今ではたとえそれらの水源から離れていたとしても
下の写真のように機械でくみ上げられます
つまり必ずしも水源に近い必要性はないという事ですね
ポンプが誰のお金で設置されたのかはわかりませんが、壊れた際にはコミュニティー全体でお金を出し合って直すそうです
お金がますます大事になってきてますね・・
(2)浮気をしたらどうする?
村は血族で構成されているのですが、村長は奥さんを複数人持つことが可能です
しかし夫が村にいない時に、奥さんが浮気をすることもあるそう
もちろん、男はそこらじゅうで浮気してると思いますよ^^
ばれてしまった際、間男は牛三頭を慰謝料として奥さんの旦那さんに払うそうです
つまり奥さんがたくさんいて、奥さんに浮気させればあっという間にお金持ちに・・
実際にやった人がいるのかは知りません (笑)
(3)ヒンバ族には年齢がない
ヒンバの人たちには年齢がありません
それは歳を取らないというわけではなく、何歳 という概念がないのです
おそらく、赤ちゃん・子ども・大人
の3段階の区切りのみなのかもしれません
ヒンバ族ががパスポートを持っているのかはわかりませんが、たまにアフリカ出身のスポーツ選手が年齢を詐称してる 等の問題が、ニュースになりますよね
しかしヒンバの人を見てると納得するでしょう
年齢って不思議な概念だなーって・・
(4)髪型のトレンド
ヒンバ族と一括りに言っても、みんながみんな同じ格好をしているわけではありません
ヒンバ族内の部族でも格好や風習には違いがありますし、同じ集落内でも違いが明らかにあります
洋服を着ている子どもと、そうじゃない子どもがいますよね
これは自由らしいです
洋服を着てもいいし、着なくてもいい
お次は、頭部に注目
左の女性は頭に トサカ? みたいのがついてますが、右の若いヒンバの女の子の頭は革のバンドで装飾されています
昔のヒンバ族の価値観では左のような装飾がおしゃれと考えられていたのですが、今の子はそれを古いものとして、右の子のような装飾をおしゃれと考えている そうです
私が思うに、ヒンバ族は全体的に文化の変容に関して寛容な民族なのかもしれません
若い子が好きな格好が出来るという事は、それだけ変容することに対して集落的に抵抗感が少ないという事でもあると思います
だからこそ、西洋文化が次第に知られてくることで、今のような伝統的なスタイルで暮らすヒンバ族は近いうちにいなくなるかもしれない
と言われているわけです
なんだか微妙な気持ちになりますね
子ども達に学校に行ったり、いろんな考え方を学んでほしいけど、知れば知るほど昔ながらのヒンバ族の人を見られなくなってくるというわけです・・
⑦まとめ
いかかでしたでしょうか
ナミビアのヒンバ族
彼らの風習は、外国人の私たちからするととても興味深いものです
これこそまさに、南アに来る前にイメージしていた、「アフリカ」なのかもしれません
しかしそんな彼らを見られるのもあと数年かも・・
是非、今のうちに見ておきたい方は、ナミビアを訪れてみてください!!
ではまた♪♪