南アフリカ共和国 ~協力隊の理想と現実~
どうも~ 月曜日担当のカオルです
Gogogoでは3学期が始まり、休みが明けていつもの日々に戻りました・・
休み中は、ともすればちょっと退屈だな~ と思っていましたが、いざ学校が始まってみると子どもたちの金切り声に追われる日々です(笑)
子どもの声高い・・><
これみんな女の子です^^
結構女の子のくりくり頭も一般的
髪を洗う手間が省けますからね~~
休みが明けると本当に学力が落ちて戻ってきます 泣
え? 2学期習ったことはどこへ行ったのって感じ・・
彼らには夏休みの宿題というものはなく、休み中はただただ遊んでいます
ただでさえ2か月間しか授業をできる時間が1つの学期中にないのに、毎回復習に1か月は取られます(笑)
さて、学校の様子はこの辺で、
今週はちょっと重いテーマ
「協力隊の理想と現実」について考えてみたいと思います
国際協力をやってみようとなった際に、選択肢として挙がりやすいのが協力隊という選択肢だと思います
しかし思い描いていた姿と、現場の国際協力は大きなギャップがあったりもします
なので今日は僕が感じた、協力隊の理想と現実について、お話していきたいなと思います
今日の内容は
①来る前に思い描いていたこと
②実際の現場
③周りの隊員の活動の様子
④まとめ(自分なりの取り組み方)
①来る前に思い描いていたこと
私は応募する直前までイメージは湧きませんでした
小さいころに、電車の広告や、社会の教科書で名前は知っていましたが、イメージとしては発展途上国に行って貧しい人々を助ける仕事
という感覚でした
世界には多くの貧しい人たちがいて、とても困っている
それをボランティアとして派遣されて、その人たちを救う仕事
語学力や経験等、ハイレベルなスキルが必要とされ、現地の人からは救ってもらったことに対して感謝される
どんなお仕事の内容があるかはわからないけど、海外でするボランティアと考えていました
応募するにあたって自分なりに調べたり、JICAの協力隊員説明会に行ってビデオを見たり、帰ってきた協力隊員の方たちの話を聞いても、
貧しい人を救う、恵まれてない人を助ける仕事であり、現地の人は助けを必要としている
と思っていました
②実際の現場
生活環境等のことは置いておいて、私は小学校隊員として、中進国の南アフリカ共和国に派遣されました
派遣された任地は南ア内では田舎の地域で、最も開発が遅れているエリアと呼ばれている場所でした
実際に大都市は先進国と変わらないぐらい発展している南アフリカ共和国でしたが、私のいる村は裸足の子ども達が遊びまわり、道路も舗装されず、仕事がなくてぶらぶらしている若者がいるような村でした
小学校は1学年1クラス(1クラス約30人ほど)で、教員もボランティアを含めなければ7人という小規模学校でした
私に与えられた役割は、算数の授業を担当して、子どもの算数能力を伸ばすこと
要請内容としては、算数クラスを担当することと、算数教員の指導だったのですが
学校側として、教員指導をしてくれることを望んでいるようには見えませんでした
子ども達も貧しくて、それから抜け出すために勉強したがっている
と思っていました
しかし長くいる間に段々と、南アの子どもはそれほど貧しくはなく、貧しい家庭は奨学金を貰えるような制度が整っていること
黒人はいろいろな制度の面で優遇されていること
子ども1人当たりに補助金が下りるので、生活にそれほど困っているわけではないこと 等々がわかってきました
そして子どもが勉強をしたがっているわけではないという、当たり前の現実にもぶつかりました
日本にいたころは、「アフリカの子どもは勉強するためのペンもノートもない」
と思っていましたが、少なくとも南アに置いては嘘です
彼らは毎年初めに政府から、無料のノートや教科書が配られますし、給食も学校で出ます
イギリスの女性首相、マーガレット=サッチャーの名言に
お金持を貧乏にしても、貧乏人がお金持にはならない
とありますが、まさにこの通り
貧しい人にペンとノートを支給しても、ペンとノートの大事さがわかる人はごく限られています
本を学校が用意しても、すぐにボロボロにしてダメにしてしまう。教科書を薪代わりに燃やしてしまう
そんな家庭が実在するんです・・
先生は進んだ授業方法を学びたいと思っている
これもそんなことはありませんでした。若い先生の中にはそういう先生もいますが、大部分の人は何かを変えたいとは思っていません。彼らの望みは何事もなく引退して、年金をもらうというごくごく当たり前の思考方法です
公立学校現場ではレベルの低い教授が行われ、多くの人はそれを問題だとは捉えています。しかし、それを自分で変えようとは思っていません。誰かがきっと変えてくれる または 変えようがないから、お金がある家は公立ではなく、レベルが効率よりは良い私立に入れる
といった感じです
その村のために、国全体の利益のために何かを変えようとしても、理解が足らない人からの反対にあい、なかなか急激には変えずらいのがこの国の現実です
「Dead aid」援助じゃアフリカは変わらない
というザンビア人によって書かれた有名な国際協力の本があるのですが、
著者曰く、
アフリカに必要なのは多党制の民主主義ではなく、経済成長を実現させる政策を実行してくれる良い独裁者だといっています
そして先進国の独善的な「貧しい人々を援助という形で救わなければいけない」という観点からの多額の援助が、発展途上国において汚職と非効率な支援を生み続けている
とも述べています
話をまとめると、必要とされていない 又は 本当にそこに必要なのかと思われる地域に派遣され、そこで活動することが大半である
それが青年海外協力隊の現実 だと私は思っています
③周りの隊員の活動の様子
もう活動が1年経ったということもあり、いろんな人の話を聞く機会も増えてきました
私が個人的に思うのは
レベルが高い仕事場に派遣された人の方が、仕事が楽しそう!
ということです
レベルが高い職場に派遣された人は自らの能力も存分に活かせますし、活動先も自分の提案や改善案を聞いてくれやすい傾向があると思います
ちゃんと改善をして、より良くしなければ という意識があるということですね
反対に地方に派遣された人や、職場としてのレベルが低いところに派遣された人は、自分の活動が本当に意味があるのか・費用対効果に見合っているのか悩んでいる気がします
協力隊の活動において、国際協力でイメージされがちな緊急支援(災害等が起こった際に、人・モノ・カネの緊急支援が必要なこと)の場所に派遣されることは、ほとんどありません
ある程度治安も良くて、落ち着いている環境に派遣されることが多いように思います
これはJICAの方針として、全員無事に日本に帰すことを基準に考えているからだと思います。なので安全管理はしっかりとなされていると、隊員として感じます
派遣された現場で周りの意識やレベルが低いと、何かを行おうとしても保守的な考えの人々から抵抗が起こったり、変化というものを望まない人も多かったりします
また現地の人が英語を話せない場合も多く、まず初めに環境面での適応も要求されます
特に働くこと、改善に対する意識の差は、なかなか変えにくいものがあります
自分の行っている活動は焼け石に水なのではないのか。本当にこれを彼らが望んでいるのか。現地で周りの反対を押し切ってまで自分がやろうとしていることは正しいのか。日本がこれだけお金をかけて、変化を望まない人を助ける必要性はあるのか。
自分の存在意義に悩むこともあるのです・・
同期とこの前タンザニアで合流した際に、ほとんどの同期が1年で十分。
「大きく彼らが変わらないことはわかったし、自分としても良い経験が出来たから帰りたい。あと1年あっても何かが大きく変わるわけじゃない。」
そんな感じでした
私も同意見です
必要とされてない場所に隊員を派遣することも多い協力隊。私たちは神ではないので、周りの協力をもとに変化を起こす必要があります。その人たちのために良かれと思ってやることでも、当の本人たちが望んでない 又は 自分たちがその分働いてまで変えたいとは思っていないこともたくさんあります
国際協力の理想と現実です
⑤まとめ(自分なりの結論)
こっちに来て国際協力関係の本を読むことが増えました。それは自分なりに、自分のやっている国際協力は意味があるのだろうか。国際協力自体にそもそも意味があるのだろうか と考えさせられることが多いからだと思います
僕の読んだ本「国際協力師たちの部屋」の中で、ある人が「国際協力は何のため」との質問にこう返していました
「国際協力」の目的は理想の世界を実現すること。
「誰のため」は、不条理に苦しめられている人と自分のため
と答えています
これはあくまでこの人の考えですが、
まあ要は自分が何が言いたいのかというと、
「自分なりの国際協力をやっている強い理由」
がないと、モチベーションを続かせることが難しいということです
ただ何となく、途上国に行って役に立てたらいいな~ ぐらいの感覚だと、自分のやっていることは自分の今やるべきことなんだろうか・・ という感じで悩みます><(自分のことですが笑)
「自分がそこにいる存在意義」
を自分のいる現場で見つけられるといいですよね!!
さいごに、
色々と協力隊のマイナスの面ばかり話しましたが、僕が協力隊に来たことを後悔しているかというとそういうわけではありません!
あの時の時点では最良の選択でしたし、来た後も自分の決断に後悔はしていません
ただ、協力隊 の仕事ってイメージしている感じの良いことばかりでもないよ~ ということを伝えたかっただけです
この前Facebookで同期の方が書いていましたが、
「来てくれてありがとう」といわれるような活動をして、帰国したい
と書いていましたが、
僕もそんな活動がしたいです
そして自分なりに現場にいる意味は、
「子どもたちのおかげ」
だと思っています。小学校隊員は存在意義が見つけやすくていいです(笑)
口紅をたくさんつけるのが子どもの中での流行です
アフリカの黒人女性は 「これでもか!!」というぐらい塗ってる人もいます^^ 特にテレビのインタービューワーは
それの影響かな?
やっぱり自分が情熱をかけて伸びていく子たちを見ているのは楽しいですね
もちろん日本の子のような伸び方はしませんが、南アの子どもという視点で見たら素晴らしい出来を示してくれます
彼らに10年後
「カオル」と過ごした2年間は良かった
と思ってもらえたらいいな~ と思います。
それに加えて、彼らがそれぞれ自分の納得がいく生活が出来ていたら最高です
勉強も結局は、自分がしたいことをするための手段に過ぎないですからね
算数を使わなくて自分が望んだ生活が出来るなら、使わなくていいのです・・
今日は協力隊についていろいろ書きましたが、あくまで僕の意見です。なのでいろんな見方があると思います。
ネット上でいろんな隊員のブログ等を読んで、どんな思いや環境で隊員が過ごしているのかを見てみてください^^
それではまた来週♪